幡織る大岩
【現代語訳】はたを織る大石(伝説)
今からおよそ1500年前のことです。
朝鮮半島(新羅や百済)での度重なる戦乱から逃れ、海を渡ってきた一人の娘が、この「おりたつ(織立)の里」にたどり着きました。
疲れ果てていた娘でしたが、村人たちの手厚い看護で元気を取り戻し、少しずつ言葉も覚えていきました。ある日、お世話になっていたおばあさんの勧めで機織り(はたおり)を始めると、その出来栄えは大変見事なものでした。
この里で腕利きと言われるおばあさんも驚くほどで、おじいさんがその織物を売りに行くと、地元の領主もそのあまりの美しさに感心し、特別に高い値段で買い取ってくれたそうです。
娘は毎日一生懸命に機を織りましたが、故郷への思いは募るばかり。寂しくなると一人で裏山の岩へ行き、西の空(故郷の方角)を眺めていました。そのうち食事も喉を通らなくなり、痩せ細っていきます。老夫婦が心配する中、ある日突然、娘の姿が見えなくなってしまいました。
老夫婦は必死に娘を探し歩きましたが何の手がかりもなく、里の人々は「きっと死んでしまったのだろう」と噂し合いました。
やがて冬が過ぎ、春が来たある日のことです。
山仕事に来た里の若者が、あの大石に腰を下ろして休んでいると、どこからか微かに機を織る音が聞こえてきました。「不思議だな」と思って耳を澄ますと、なんとその音は、自分が座っている大石の中から聞こえてくるのです。若者は気が遠くなるほど驚き、山を駆け下りて里の人々に知らせました。
その噂を聞いた老夫婦は胸騒ぎを覚え、すぐに山へ登りました。大石のそばに立つと、澄んだ機織りの音が聞こえてきます。しゃがんで石に耳を当てると、確かに石の中から音が響いていました。
二人は、両親や故郷を恋しがりながら一心に機を織っていた娘の姿を思い浮かべ、しばらくその場を離れることができませんでした。
それ以来、里の人々はこの大石を「はたを織る大石」と呼び、今も大切に語り継いでいます。
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